週間テック:ESP32-S31とJetson Orin Nano 2登場、メモリ高騰でラズパイ再値上げ|2026年8月第4週

週間テックニュース 2026年8月第4週 ESP32-S31とJetson Orin Nano 2、メモリ高騰でラズパイ再値上げ

2026年8月第4週の組み込み・半導体・AI分野は、エッジAI向けの新しいシリコンと、AI需要が引き起こしたメモリ価格の高騰という二つの流れが同時に動いた一週間でした。EspressifのRISC-V SoC「ESP32-S31」とNVIDIAの「Jetson Orin Nano 2」という端末側AIを狙う製品が相次いで登場する一方、DRAM価格の急騰はRaspberry Piの再値上げにまで波及しています。本記事では、組み込み・IoT・AIに関わるエンジニアが今週押さえておきたい5つのトピックを、公式発表と業界メディアの報道をもとに整理します。

目次

① Espressif、デュアルコアRISC-V SoC「ESP32-S31」を発表

EspressifがデュアルコアのRISC-V SoC「ESP32-S31」を発表し、サンプル出荷を開始したと報じられています。EDN Japanなどの報道によると、32ビットRISC-Vコアは最大320MHzで動作し、6.86 CoreMark/MHzを達成、メモリ管理ユニット(MMU)と60本のGPIOを備えます。2つのコアのうち一方は128ビット幅のSIMDデータパスを持ち、ニューラルネットワークの推論や画像処理といった並列演算を想定した構成です。無線面ではWi-Fi 6・Bluetooth 5.4・Thread・Zigbee・Ethernetに対応するとされています。

あわせて、ESP32-S31を搭載した開発ボード「ESP32-S31-Function-CoreBoard-1」「ESP32-S31-Korvo-1」の2種が公開され、いずれも端末側でAIを処理するエッジAIやディスプレイ搭載機器の開発を狙ったものと紹介されています。RISC-Vコアの採用が進む流れは、以前から続くトレンドの延長線上にあります(参考:RISC-VとエッジAIが加速中──2026年の最新動向)。なお、これらの数値は公式サイト・報道に基づくもので、編集部が実機で測定したものではありません。実機での検証結果は入手でき次第、別途追記します。

② NVIDIA、エッジAI向け「Jetson Orin Nano 2」を発表

NVIDIAは2026年8月25日、エントリー向けロボティクス・コンピュータ「Jetson Orin Nano 2」を発表しました。NVIDIAの公式発表によると、AI演算性能は78 TOPS、メモリは8GB、8コアのArm CPUを搭載し、前世代のJetson Orin Nano Superと同じコンパクトなフォームファクタのまま推論性能を約2倍に引き上げたとしています。15Wモードでは前世代と同等の性能を約40%少ない消費電力で実現し、上限は40Wの電力枠に収まるとされています。用途はロボット、配送・点検用ドローン、ビジョンAIシステムなどで、モジュールと開発者キットは2027年前半の提供が見込まれています。

ESP32-S31のようなマイコン級のエッジAIから、Jetsonのような数十TOPS級のエッジAIまで、端末側で推論を回す選択肢の幅が広がっています。チップ各社の勢力図はNVIDIA・AMD・Intelのチップ戦争2026でも整理しています。

③ AI需要でDRAM価格が急騰、供給不足は2027年まで続く見通し

今週も半導体メモリの価格高騰が大きな話題でした。PC Watchやセミコンポータルなどの報道によると、2026年のDRAM価格は四半期ベースで前期比約90%という記録的な上昇を見せ、年内には130%規模の上昇も見込まれるとされています。背景にあるのはAI向けの広帯域メモリ(HBM)への生産能力シフトです。HBMは通常のDRAMを垂直に積層する複雑な構造のため、同じ容量でも数倍のシリコンウェハーを必要とし、汎用DRAMの供給を圧迫しています。加えて大手AI事業者による供給の囲い込みも指摘されており、DRAMの供給不足は2027年まで続く可能性があると報じられています。

電源・パワー半導体まわりの効率化も、こうしたコスト圧力と無関係ではありません(参考:GaNパワー半導体が組み込み設計を変える)。メモリを多く積む設計ほど、今後はBOMコストへの影響を早めに織り込む必要があります。

④ メモリ高騰がRaspberry Piの再値上げに波及

DRAM高騰の影響は、ホビーストや教育現場でも使われるRaspberry Piにも及んでいます。FabSceneなどの報道によると、2026年に入ってからRaspberry Piは複数回の値上げが実施され、メモリ搭載量の多いモデルほど上げ幅が大きくなっています。あわせて、価格を抑えた新しい3GBメモリ搭載モデルが登場したとも伝えられています。CEOの発言として、次世代の「Raspberry Pi 6」は早くても2028年になる見通しとされており、当面は現行世代を前提にした調達計画が現実的です。試作や学習用にボードをまとめ買いする場合は、値上げのタイミングを見て早めに確保しておくと安心です。

⑤ AI人材は売り手市場が継続、生成AI求人は数年で急増

ハードウェアの話題が続きましたが、キャリア面でも大きな動きがあります。各転職メディアの2026年市場動向によると、ITエンジニアの転職市場は引き続き売り手市場で、生成AI関連の求人は2021年の数十件規模から2025年には約1万件へと急増したと報じられています。経済産業省の推計では2030年にAI人材が最大で十数万人不足する見通しとされ、生成AI・LLM関連スキルを持つエンジニアでは年収700万〜1,200万円クラスの求人も増えているといいます。

組み込み・エッジAIの知識は、こうしたAI人材需要と相性が良い領域です。求人動向や年収レンジの整理はキャリア・転職ハブに、Python・機械学習・MLOpsといった土台スキルの学び方はスキルアップハブにまとめています。今週のニュースで気になった技術を「触れる」段階から「案件で語れる」段階へ引き上げるための導線として活用してください。

今週の要点まとめ

  • EspressifがデュアルコアRISC-V SoC「ESP32-S31」を発表。SIMD対応コアでエッジAIを想定(報道ベース)。
  • NVIDIAが「Jetson Orin Nano 2」を発表(8/25)。78 TOPS・8GB、前世代比で推論性能約2倍・消費電力約40%減(公式発表)。
  • DRAM価格が約90%急騰。AI向けHBMへの生産シフトが主因で、供給不足は2027年まで続く見通し。
  • メモリ高騰がRaspberry Piの再値上げに波及。3GBモデルが新登場、Pi 6は2028年以降の見込み。
  • AI人材は売り手市場が継続。生成AI求人が急増し、年収700万〜1,200万円クラスの求人も。

最新のトピックはAI・最新技術ニュースのハブで随時更新しています。

よくある質問(FAQ)

Q. ESP32-S31は今すぐ買えますか?
A. 報道時点ではサンプル出荷の段階で、一般向けの量産・入手時期は各社の続報を待つ必要があります。今すぐ手を動かしたい場合は、入手性の高い既存のESP32開発ボードで周辺技術(Wi-Fi・BLE・センサ制御)を先に習得しておくのが現実的です。

Q. メモリ高騰はいつまで続きますか?
A. 複数の業界メディアは、AI向けHBM需要が主因のため2027年まで供給不足が続く可能性があると報じています。メモリを多く積む製品を設計・調達する場合は、価格変動を早めにコストへ織り込むことが推奨されます。

Q. 組み込みエンジニアがAIスキルを足すには何から始めればいいですか?
A. まずはPythonと機械学習の基礎、次にエッジ向けの軽量推論(TinyMLや量子化)へ広げるのが定番の順路です。学習ステップはスキルアップハブで、求人動向はキャリアハブで確認できます。

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※本記事の情報は2026年8月28日時点で確認できた公式発表・業界メディアの報道に基づく速報まとめです。数値や時期は各社の続報で更新される場合があります。編集部が実機で測定・検証した値ではありません。最新情報は各社公式サイト・発表をご確認ください。

出典

  • NVIDIA Newsroom「NVIDIA Announces Jetson Orin Nano 2 Robotics Computer to Redefine Entry-Level Edge AI」 https://nvidianews.nvidia.com/news/nvidia-announces-jetson-orin-nano-2-robotics-computer-to-redefine-entry-level-edge-ai
  • EDN Japan「音声対応IoT向けデュアルコアRISC-V SoC『ESP32-S31』、Espressif」 https://edn.itmedia.co.jp/edn/articles/2604/28/news025.html
  • PC Watch「AI巡るメモリ争奪戦──2026年はPC、スマホに“冬”が到来」 https://pc.watch.impress.co.jp/docs/topic/feature/2073359.html
  • FabScene「ラズパイが3度目の値上げ、4GBが25ドル上昇──3GBモデルも新登場」 https://fabscene.com/new/news/raspberry-pi-price-increase-april-2026-3gb-model-b/
  • 経済産業省 IT人材需給に関する調査(各転職メディア報道経由)

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この記事を書いた人

組み込みエンジニア・IoTエンジニア向け情報メディア「エンジニアGO」の運営者。エンジニアのキャリア・転職・スキルアップに役立つ情報を発信しています。

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