「転職は特別なことではなく、当たり前のキャリア選択になった」——そう実感している方は多いのではないでしょうか。2022年に実施されたアンケート調査によると、30代までに転職を経験した人の割合が52%に達することが明らかになりました。つまり、30代以下のエンジニア・ビジネスパーソンの約2人に1人が、すでに転職を経験しているという時代になったのです。
本記事では、このアンケート結果の詳細を分析しながら、ITエンジニアの転職動向・転職成功のポイント・キャリア設計の考え方について詳しく解説します。
アンケート結果の詳細:30代までの52%が転職経験者
2022年に実施されたこの調査では、20代〜30代の社会人を中心に転職経験についてアンケートを実施。その結果、30代までに1回以上の転職を経験したことがある人が全体の52%を占めることが明らかになりました。年代別に見ると、20代での転職経験率も年々上昇しており、新卒入社後3年以内に転職を検討する「第二新卒」層の存在感が増しています。特にITエンジニア職種では業界全体の人材流動性が高く、転職経験率は他職種と比べても高い傾向があります。
終身雇用・年功序列という従来の雇用モデルが崩壊しつつある現代において、複数回の転職はもはや特別なことではなく、一般的なキャリアパスのひとつとして認識されています。
なぜ転職が当たり前になったのか:背景と要因
① IT人材の慢性的な不足
経済産業省の試算では、2030年には最大79万人規模のIT人材不足が生じるとされています。エンジニアの需要が供給を大幅に上回る状況は、エンジニアの転職市場における交渉力を高め、より好条件を求めた転職活動を活発化させています。
② リモートワークの普及による地理的障壁の消滅
コロナ禍以降、フルリモートやハイブリッドワークが定着したことで、東京・大阪以外の地方在住者でも都市部の企業への就業が可能になりました。これにより転職候補となる企業の選択肢が大幅に広がり、エンジニアの転職活動が活発化しています。
③ スタートアップ・新興企業の台頭
フィンテック・ヘルステック・EdTech・AI・web3など、新しいテクノロジー領域での起業・成長企業が急増しています。大手企業より高い給与・ストックオプション・裁量の大きな仕事を求めて、優秀なエンジニアがスタートアップへ流入するケースが増えています。
④ キャリア観の変化
「スキルアップ」「やりたい仕事への挑戦」「年収アップ」「ライフスタイルの最適化」を求めた転職が、肯定的なキャリア選択として社会的に受け入れられるようになりました。
ITエンジニアの転職動向:特徴的なデータ
転職市場におけるITエンジニアの平均年収上昇は顕著です。転職時の年収アップ率は他職種と比較して高く、20〜30代のエンジニアが転職によって年収を100万〜300万円以上増加させるケースも珍しくありません。
求人倍率を見ると、ITエンジニア職種は全職種の平均を大きく上回る高い倍率が続いています。特にAI・機械学習エンジニア・クラウドインフラエンジニア・セキュリティエンジニアなどの専門職では、スキルを持つ人材の取り合いが続いています。エンジニアの転職活動期間は平均3〜6ヶ月であり、複数社から内定を取得して条件を比較できるケースも増えています。
転職経験者が語る転職理由TOP5
1位:年収・待遇の改善(約45%)
最多の転職理由は「年収・待遇の改善」です。現職での昇給スピードに不満を持ち、転職によって即座の年収アップを実現するエンジニアが多い傾向があります。
2位:技術スキルアップ・新しい技術への挑戦(約38%)
「現職では使いたい技術が使えない」「レガシーシステムの保守ばかりで成長できない」という不満から、最新技術を扱える環境を求めて転職するエンジニアが多くいます。
3位:職場環境・人間関係の改善(約32%)
マネジメントスタイルの不満・チームの雰囲気・働き方(残業・リモートワーク)の改善を求めた転職も多く見られます。
4位:キャリアアップ・役職・責任範囲の拡大(約28%)
現職での昇進が見込めない・マネジメント職に挑戦したい・テックリードやアーキテクトなど上位職を目指すための転職です。
5位:会社の将来性・事業への不安(約22%)
事業の縮小・技術的な競争力の低下・経営方針への疑問などを理由に、将来性を見越して早めに転職を決断するエンジニアも少なくありません。
転職を成功させるためのポイント
1. スキルの棚卸しと市場価値の把握
転職活動を始める前に、自分が持つ技術スキル・経験・実績を整理しましょう。GitHubのポートフォリオ・過去のプロジェクト実績・使用技術スタックを明確にすることで、転職市場での自分の価値を客観的に把握できます。
2. 転職理由を前向きに整理する
面接での「転職理由」は採用側が最も重視するポイントのひとつです。「現職への不満」ではなく「新しい環境で達成したい目標」に焦点を当てた説明を準備しましょう。「○○の技術を活かしてより大きな課題に挑戦したい」という具体的なビジョンを示すと好印象を与えます。
3. 複数の転職エージェント・媒体を活用する
エンジニア特化の転職エージェント(レバテック・geekly・doda Xなど)と総合型エージェント(リクルートエージェント・マイナビ転職など)を組み合わせて活用することで、より多くの求人情報と非公開求人にアクセスできます。LinkedInやGitHubを通じたスカウト採用も活発なため、プロフィールの充実も重要です。
まとめ:転職が当たり前の時代に、自分らしいキャリアを選択しよう
30代までの52%が転職を経験する時代——この数字は、日本の雇用環境と働き方が大きく変わっていることを示しています。特にITエンジニアにとって転職は、年収アップ・スキルアップ・働き方改善を実現するための有効な手段として定着しました。
大切なのは、転職を「逃げ」ではなく「キャリアの意図的な選択」として捉えることです。現職での成長・学習・貢献を積み重ねながら、市場価値を高め続けることで、転職市場における選択肢は自然と広がっていきます。転職するもしないも、自分自身のキャリアビジョンに基づいて主体的に判断することが、変化の激しい時代を生き抜くエンジニアにとって最も重要なことです。
※本記事に記載のアンケートデータは2022年時点の調査結果に基づくものです。最新の市場動向については各種転職サービス・調査レポートをご参照ください。


