～モータ制御とTSN対応の産業イーサネット通信を１チップで実現し、機能安全にも対応～
プレスリリース概要
ルネサス エレクトロニクス株式会社（代表取締役社長兼CEO：柴田 英利、以下ルネサス）は、このたび、ACサーボモータや産業ロボット向けに、ルネサスとして最もハイエンドなモータ制御用MPU（マイクロプロセッサユニット）「RZ/T2M」を発売、量産を開始しました。
発表日：2022年6月7日
RZ/T2Mは、高速かつ高精度なモータのリアルタイム制御と、最新の産業ネットワーク通信を１チップで実現し、機能安全にも対応します。モータ制御に必要な周辺機能を搭載したことにより、外付けの部品点数を削減することができるため、BOMコストの削減や省スペース化にも貢献します。
リアルタイム制御の高性能化を実現
RZ/T2Mは、最大動作周波数800MHzのArm® Cortex®-R52を2個搭載しました。CPU直結の専用バスにモータ制御で使われる周辺機能を配置し、CPUから低遅延でアクセスが可能です。さらに、CPUに密結合した大容量メモリ（576KB）を搭載したことにより、キャッシュメモリの使用で起こる実行時間のブレを低減し、確定的な高速応答処理を実現します。これらにより、高性能化が求められているACサーボ、インバータ、ロボットを高速かつ高精度に制御することができます。
各種産業イーサネットプロトコルや次世代ネットワークTSNに対応
RZ/T2Mは、EtherCAT、PROFINET RT、EtherNet/IPなどの主要な産業ネットワーク通信プロトコルに加え、新たにPROFINET IRT にも対応できるようになりました。さらに、次世代ネットワークであるTSN（Time-Sensitive Networking）の規格に対応したイーサネットスイッチを搭載しており、複数の機器を高精度に同期させて動作させることが可能です。
機能安全サポート
一般的に、産業機器を機能安全に適合させるためには、安全監視用に2つのマイコンを外付けするためBOMコストが課題となります。RZ/T2Mは、機能安全処理を考慮したハードウェア構造のため、機能安全用のマイコンを１つ外付けするだけで、モータ制御とネットワーク通信に並行して、機能安全処理を実装可能です。また、2022年中にはRZ/T2M単体の自己故障診断を行う「認証済みセルフテストソフトウェア」、マイコン二重化構成に必須の相互診断や、複数のソフトウェアを分離する機能でSIL3認証を取得したソフトウェアを含む「SIL3システムソフトウェアキット」などの機能安全ソリューションの提供を予定しています。本ソフトウェアを使用するために必要となる機能安全認証を取得した統合開発環境「IAR Embedded Workbench for Arm 機能安全版」は、IARシステムズから提供します。
ウィニング・コンビネーション
ルネサスは、RZ/T2Mと様々なルネサスのデバイスを最適に組み合わせた「産業用ネットワーク＆機能安全対応モータ制御システム」ソリューションを提供します。本ソリューションには、絶縁型ΔΣモジュレータとの組み合わせによる高精度な電流検出、RS-485デバイスやフォトカプラとの組み合わせによる高精度回転位置検出、相互監視用のマイコンとの組み合わせによる機能安全、および最適な電源構成などが含まれます。ルネサスはこの他にも、ユーザの設計を加速させ、より早く市場に投入できるよう、ルネサス製品のポートフォリオを組み合わせた300種類以上の「ウィニング・コンビネーション」を開発、提案しています。
詳しくは、こちらをご覧ください。
https://www.renesas.com/win
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ルネサス社 インダストリアルオートメーション事業部 事業部長 坪井 俊秀氏のコメント
工場の自動化やロボットの導入により生産性を向上することが、ますます求められています。RZ/T2Mは、ロボットを駆動するサーボモータを極めて高速かつ高精度に制御できるため、人と安全に共存できる高度なロボットの開発と普及に貢献できると期待しています。
IARシステムズ CTO Anders Holmberg氏のコメント
機能安全の認証取得が必要なアプリケーションがますます増大する一方で、多くのお客様が開発の難しさという課題に直面しています。ルネサスのRZ/T2Mのお客様は、IARシステムズの認証済み開発ツールとともにグローバル規模のテクニカルサポートを活用できるため、機能安全に対応したシステム設計と認証の取得にかかるコストや時間を大幅に削減することができるでしょう。
