RISC-Vコアを搭載した、モータ制御用32ビットASSPを発売

プレスリリース概要
ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長兼CEO: 柴田 英利、以下ルネサス)は、このたび、モータ制御向けに最適化した32ビットRISC-Vコア搭載のASSP(特定用途向け汎用製品)「R9A02G020」を発売、量産を開始しました。ASSPに加え、あらかじめプログラム済み、かつテスト済みのモータ制御ソフトウェアや各種ツールやドキュメントを含む、すぐに使えるターンキーソリューションを提供します。RISC-Vを初めて利用するユーザも、ツールやソフトウェアへの投資を削減できるため、開発費用を抑え、市場投入までの時間を短縮します。新製品は、家電製品やビルディングオートメーション、医療機器、ドローンなどのモータ制御用途に適しています。

発表日:2022年9月8日

 ルネサスは、すでにRISC-V CPUを採用した64ビット汎用MPU(マイクロプロセッサユニット)「RZ/Five」を発売しています。また、車載用でもRISC-Vを活用した製品開発を行うなど、RISC-Vへの取り組みをリードしており、新製品もその一環です。

ルネサスのIoT・インフラ事業本部、MCU担当執行役員のRoger Wendelken氏のコメント

ルネサスは、組み込みプロセッサのリーディングプロバイダとして、お客様が求める多様な製品を提供しています。RISC-Vを搭載したASSPは、性能、コスト、早期の市場投入を実現できるバランスを兼ね備えており、ポートフォリオがさらに充実したことにより、世界中の新しいお客様や新興市場に手を差し伸べることが可能になります。

パートナ企業との協業により最適化したソリューション

新製品は、Andes Technology社のRISC-Vコアを採用しています。アンデス社のCEO、Franklin Lin氏は次のように述べています。「当社のエントリレベルのRISC-VプロセッサIPが、ルネサスのASSP、R9A02G020の演算能力に貢献していることを嬉しく思います。ルネサスが低消費電力で強力なASSPを発売することで、今後ますます幅広いアプリケーションにRISC-Vが組み込まれるようになるでしょう。また、ソフトウェア開発者は今まで以上に独創的で効率的なRISC-V用アプリケーションの構築に積極的に取り組むようになり、次世代パラダイムの導入が加速されるでしょう。」

 本ASSP専用にプログラムされたアプリケーションコードは、大手独立系デザインハウス(IDH)であるBFG Engineering社とDigiPower社が開発しました。BFG社もDigiPower社も、モータ制御分野に特化した専門知識を有し、顧客サポートには実績があります。BFG社は、センサレスアルゴリズムで有名であり、ユーザはモータの起動時間を短縮できます。DigiPower社は、2008年以来、コスト最適化されたスケーラブルなモータドライブソリューションを開発しており、冷蔵庫のコンプレッサ、ファン、ポンプなどを制御するためのソリューションを設計しています。BFG社とDigiPower社は、ユーザの設計および最適なパラメータ設定をサポートし量産への移行を支援します。

 また、統合開発環境やデバッガを手掛けるSEGGER社も、RISC-Vに対応したEmbedded StudioやJ-Linkを提供するなど、モータ制御ソリューションの開発とテストに協力しています。

モータ制御用ASSP「R9A02G020」の主な特長

  • ライセンスフリーのRISC-V ISA(命令セットアーキテクチャ)をベースにコストを最適化した、動作周波数32MHzの革新的32ビットCPUを搭載
  • 豊富なアナログIP機能:3つの専用PGA(プログラマブルゲインアンプ)とサンプル&ホールド回路を備えたA/Dコンバータ、D/Aコンバータ×2、コンパレータ×2、温度センサ
  • モータ制御用タイマ、ウォッチドッグタイマ×2
  • 24ピンおよび32ピンの小型QFNパッケージ
  • Ta +125°Cまでの高温動作をサポート
  • BLDC(ブラシレスDC)モータ1個、1/3シャント、PFC、およびホールセンサ入力用のセンサレスベクトル制御に対応
  • 48KB(キロバイト)のフラッシュメモリを搭載
  • 16KB(ECC保護付き4KB)のSRAMを搭載
  • CPUおよびバスメモリの保護ユニットを搭載
  • あらかじめプログラム済み、かつテスト済みのモータ制御ソフトウェアを提供
  • 完全なリファレンスデザイン:ハードウェア、ソフトウェア、キット、ツール、ハードウェアデータシート、ソフトウェアデータシート、GUIマニュアル、アプリケーションノート

RISC-VコアASSPによるモータ制御のウィニング・コンビネーション

ルネサスは新製品と補完的なデバイスを使用してシームレスに動作する「RISC-VコアASSPによる三相モータ制御ソリューション」のウィニング・コンビネーションソリューションを開発しました。ルネサスのウィニング・コンビネーションは、ルネサス製品を最適に組み合わせて技術的に動作検証を行っているため、設計上のリスクを低減し、市場投入までの時間を短縮することができます。ルネサスは、様々なアプリケーションに向けた300種類以上のウィニング・コンビネーションを提供しています。詳しくは、こちらからご覧いただけます。renesas.com/win

モータ制御用ASSP「R9A02G020」の詳細はこちらをご覧ください。
renesas.com/R9A02G020

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