プレスリリース概要
最新のArm Total Solutions:
Cortex-MおよびCortex-A向けの最新Corstoneサブシステムにより、高性能マイクロコントローラとアプリケーションのユースケースを拡大
Arm Cortex-M85プロセッサー:
パフォーマンスと機械学習(ML)機能を向上し、セキュリティを強化
Arm Virtual Hardware:
Armプロセッサー、サードパーティのハードウェア、実環境のデバイスを対象に、仮想環境におけるより広範な開発機会を提供
発表日:2022年4月27日
2022年4月26日、英国ケンブリッジ発 ― 英Arm(本社:英国ケンブリッジ、日本法人:神奈川県横浜市、以下Arm)は本日、Armの「Total Solutions for IoT」のロードマップに基づき、IoT/組込みの開発プロセスを合理化・迅速化する、Arm® Cortex®-MおよびCortex-Aプロセッサー向けの2つの最新ソリューションを発表しました。さらに、ロードマップ拡大の一環として、ArmはCortex-M史上最高の性能とセキュリティを誇る「Arm Cortex-M85」プロセッサーの提供を開始するとともに、Arm Virtual Hardwareの拡大により、サードパーティ製デバイスを含むより多くのプラットフォームを対象に、これまで以上に利用しやすい開発環境を実現します。
ArmのIoT/組込み事業担当バイスプレジデントであるモハメド・アワッド(Mohamed Awad)氏のコメント
開発者たちがIoTの未来を牽引する中、パフォーマンスやセキュリティの強化、そして複雑な開発フローの簡素化に対する需要は高まり続けています。Arm製品はこうしたIoT環境の基盤となっています。パフォーマンス、シンプルな開発環境、エコシステムでのソフトウェアの再利用性を改善し続けることで、Armは、IoTのイノベーションと規模拡大に向け、より大きな機会を創出する責務を担っています。
Arm Total Solutions for IoTがイノベーションを加速
6カ月前に提供開始した「Arm Total Solutions for IoT」は、IoT/組込み市場向けの設計アプローチに抜本的な変革をもたらすもので、ハードウェアIP、プラットフォーム・ソフトウェア、機械学習(ML)モデル、各種ツールを組み合わせることで、開発の簡素化と製品設計の迅速化を実現しました。このTotal Solutionsの柱となるのが、事前統合済み・検証済みIPサブシステムの「Arm Corstone™」であり、シリコン設計者は限られた時間と労力を製品の差別化に費やすことができます。
本日発表された「Arm Total Solution for Cloud Native Edge Devices」は、Cortex-A向けに設計された初のソリューションであり、Corstone-1000を採用しています。IoT開発者にとっては今回初めて、LinuxなどのプラットフォームOSのパワーと可能性を容易に活用できる環境が整いました。その結果、スマートウェアラブル端末やスマートゲートウェイ、ハイエンドのスマートカメラといったデバイスを対象に、アプリケーションクラスのワークロードを実現できます。上記のCorstone-1000はArm SystemReady™-IRに準拠しており、「PSA Certified」に対応したハードウェア・セキュアエンクレーブを採用することで、より高水準のセキュリティを実現します。これにより、OEMメーカー各社は「Project Cassini」のメリットを直ちに活用できます。
もう1つの最新ソリューションである「Total Solution for Voice Recognition」は、Corstone-310サブシステムを採用しています。これは新製品のCortex-M85、およびArm Ethos™-U55と事前統合済みで、Arm史上最高性能のMCUベース設計を実現します。本ソリューションは、スマートスピーカーやサーモスタット、ドローン、工場用ロボットなど、さまざまなユースケースを対象としています。開発者はCorstone-310を利用し、各種リファレンス・ソフトウェアと組み合わせることで、さらなる高性能製品を幅広く開発できます。
Arm Cortex-M85:セキュアで高性能なマイクロコントローラの新たな基準を確立
Arm Cortex-M85は、最高性能のCortex-Mプロセッサーであり、大幅な高性能化が求められるアプリケーションでは必然的な要素として、Armv8-Mアーキテクチャのアップグレードを実現しています。製品の特長は以下の通りです。
- スカラ性能がCortex-M7比で30%増
- Arm Helium™テクノロジーがエンドポイントでのMLとDSPのワークロードをサポート
- Arm TrustZone®テクノロジーによるセキュリティの強化。さらに、ソフトウェア攻撃の脅威軽減を強化した最新のアーキテクチャ機能として、ポインタ認証および分岐ターゲット識別(PACBTI: Pointer Authentication and Branch Target Identification)を採用することで、IoT導入に関するセキュリティ基準「PSA Certified Level 2」の達成をサポート
Arm Virtual Hardwareが既存のデバイス、ハードウェア、プロジェクトに対応
Arm Virtual Hardwareは、チップの出荷開始前にソフトウェアの開発を行うための変革的なソリューションです。これによって、Armエコシステムは、大規模なカスタムハードウェアファームを必要とせず、クラウドベースの開発およびCI/CD環境を容易に採用できます。Arm Virtual Hardwareはこれまで、多数の開発者に利用されてきました。そして、彼らから寄せられたフィードバックに基づき、Arm Virtual Hardwareの魅力を拡大するものとして、Armは複数の新たな仮想デバイスを発表します。Arm Virtual Hardwareの新たな追加要素としては、最新のCorstone設計に加えて、Cortex-M0からCortex-M33までの7種類のCortex-Mプロセッサーへの対応を実現します。Armは現在、NXP、ST Microelectronics、Raspberry Piなど、パートナー各社のサードパーティ製ハードウェアを通じ、ライブラリのさらなる拡大を進めています。
エコシステムのデバイスとCortex-M製品ラインの大多数を対象にArm Virtual Hardwareを拡大することで、独立系ソフトウェアベンダーやクラウドサービスプロバイダーは今後、すでに展開されている数十億個ものArmベースのIoT/組込みデバイスを活用できます。
IoT開発の標準化に向けた基礎を構築
規模の拡大のためCortex-Mのソフトウェア・エコシステムに求められるのは、複数の標準を一貫した形で取りまとめることで、幅広いデバイスでのソフトウェアの移植性と再利用性を実現することです。「Project Centauri」は、まさにこの目的で発足したもので、開発者はイノベーションや差別化など、本当に重要な業務に専念できます。プロジェクトの構成要素であるOpen-CMSIS-Packはすでに9,500のマイクロコントローラと440の基板がサポートしており、ソフトウェアベンダーは、これら全種類のデバイスを対象に自社のソリューションを容易に拡大できます。
Project Centauriへの投資を継続するArmは、Open IoT SDK Frameworkの第一弾リリースを提供しました。この中には、Cortex-Mエコシステム向けのCommon Device Interface(CDI)を定義する、Linaroでホストされたコミュニティ主導プロジェクトとして、新たなOpen-CMSIS-CDIソフトウェア標準があります。プロジェクトには、シリコンパートナーやクラウドサービスプロバイダー、ODM、OEMなど、すでに業界の主要企業8社が参加しています。
開発者は、拡大する多様な市場への対応が可能に
IoT/組込み市場は驚くほど多様性に富んでおり、各種センサーからロボット、スマートスピーカー、家電製品、ストレージコントローラ、コンピュータビジョンまで、あらゆる製品が対象となります。この市場では、広範かつ合理的な開発環境が不可欠であり、本日の発表により、IoTエコシステムの発展をリードしながら成長を促し、IoTエコノミー全体で価値の創造を目指すArmの独自のポジションはより強固なものとなります。
参考資料:
Arm Cortex-M85、Corstone-310、Corstone-1000は現在ライセンス提供を開始しており、Arm Total Solutions for IoTの一環として、クラウド環境のArm Virtual Hardwareにて直ちに利用できます。
Arm Virtual Hardwareは、こちらで利用できます。サードパーティ製ハードウェアは、NXP(iMX8 Arm Cortex Complex)、ST Microelectronics(STM32U5 Discovery Kit)、Raspberry Pi(RPi4)など、パートナー各社が提供中です。
Project Centauriについての詳細は、次のリンク先をご参照ください。
Arm社について
Armのテクノロジーは、コンピューティングとデータによる革命の中心として、人々の暮らしや企業経営のあり方に変革を及ぼしています。そのエネルギー効率に優れたプロセッサー設計とソフトウェアプラットフォームは、2,250億個以上のチップを通じて高度なコンピューティングを実現し、センサーからスマートフォン、スーパーコンピュータまで、あらゆる製品をセキュアにサポートしています。Armは1,000社以上のパートナーとともに、チップからクラウドまで、AI駆動のコネクテッド社会の中核となるコンピューティングのあらゆる分野において、設計、セキュリティ、管理を支えるテクノロジーの最先端を担っています。



📌 エンジニア視点での注目ポイント
① Cortex-M85が切り拓くエッジAI/MLの新境地
Arm Cortex-M85はHelium(M-Profile Vector Extension)テクノロジーにより、従来のCortex-M55比でDSPおよびML処理性能が大幅に向上しています。エッジデバイス上でのリアルタイム推論(音声認識・画像認識・異常検知)が現実的なものとなり、クラウドへのデータ送信コストとレイテンシを削減できます。組込みエンジニアにとってはTensorFlow Lite Micro等のフレームワークを活用したAI開発スキルがますます重要になります。
② Arm Virtual Hardwareが開発プロセスを変革
物理ボードを持たずにクラウド上でArm IPを実行できるArm Virtual Hardwareは、組込み開発の概念を根本から変えます。CI/CDパイプラインへの統合、複数人での並行開発、ハードウェア到着前からのソフトウェア開発が可能になります。AWSクラウド上で提供されるため、既存のAWSツールチェーンとの親和性も高いです。
③ IoT開発の参入障壁がさらに低下
Total Solutions for IoTは、BSP・RTOS・セキュリティ・ML・クラウド接続までを包括したソリューションです。これにより、ゼロからのIoT製品開発に必要な期間とコストが大幅に削減されます。スタートアップや中小企業にとっても、競争力のあるIoT製品を市場に投入しやすくなります。
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✅ まとめ
ArmのTotal Solutions for IoTは、IoT組込み開発のエコシステムを包括的に強化するものです。Cortex-M85によるML性能向上、Arm Virtual Hardwareによる開発効率化、Corstoneサブシステムによる設計の標準化——これらが組み合わさることで、組込みエンジニアはより少ない工数でより高品質なIoT製品を開発できるようになります。今後のIoT組込み開発のトレンドを先取りするために、ぜひArmのエコシステムへの理解を深めておきましょう。
※本記事の情報は発表日時点のものです。最新情報はArm公式サイトでご確認ください。
よくある質問(FAQ)|Arm IoTソリューション
Q. ArmのTotal Solutions for IoTとは何ですか?
A. Armが提供するIoT開発向けの包括的ソリューション群です。ハードウェアIP・セキュリティ・OS・クラウド接続まで、IoTデバイス開発に必要な要素をまとめてカバーすることで、開発期間の大幅短縮を実現します。
Q. Cortex-Mシリーズと最新Armコアの違いは?
A. Cortex-M0/M0+は超低消費電力向け、Cortex-M4/M7はDSP・FPU内蔵でリアルタイム処理向け、Cortex-M33/M55はTrustZoneセキュリティ対応。2026年現在はAI処理向けのCortex-M85や専用NPU搭載コアも登場しています。
Q. エンジニアがArmエコシステムを学ぶにはどうすれば?
A. Arm Education MediaのオンラインコースやMDK(Microcontroller Development Kit)の無償評価版から始めるのがおすすめです。STM32やNXP Kinetisなど対応マイコンは豊富に市販されています。
まとめ|Armエコシステムを活かしたIoT開発の加速
ArmのTotal Solutionsは、IoT開発のサプライチェーン全体を一本化するビジョンを提示しています。セキュリティ・AI・クラウド接続が三位一体で進化するIoT開発の最前線に立つために、Armの最新動向を継続的にキャッチアップしましょう。
